籠のなかの花嫁
そんな美羽の仕草が愛しく、そしてようやく実った恋を実感した。




これからは、俺がお前を守るよ。


お前を傷つける全てのものから、守ってみせる。


だから、もう俺から逃げるな。




「愛してる。今日からは、単なる同居人じゃない。俺達は婚約をした恋人だ」


「はい」




“恋人”



照れ臭くて、美羽は小さく笑った。




ずっと憧れていた。


友達が彼氏に大事にされているのを遠巻きに見ながら、ずっと。



あたしも、あんな風に誰かに愛されたい、大切にされたい。


幼い頃、望んでも望んでも叶わなかった願いを、叶えてくれる人をあたしはずっと待っていた。



あたしだけを見てくれて、あたしのことを全部理解してくれる人。




それから




「あたし、あなたのこと幸せにしたい。大事にしたい」



そう、心から思える人に、あたしはやっと出会えたんだ。




「おぉ。俺はその何倍も何十倍も、お前を幸せにする。お前を大事にするから」


「はい。・・・愛してます、晴太さん」




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