籠のなかの花嫁
「はいはい。素直すぎる私はバカってことね。いいよ別に。こんなあたしを蒼司は想ってくれてるんだから」



唇を尖らせて、プイッと横を向いた梨奈。



だが、視線の先に由良がいて、すぐに戻した。



その後に由良が美羽に視線を送ったことには気付かずに。





気を取り直して、話を戻す。



「で、結局悩んでることって、晴太さんに何をプレゼントするかってこと?」


「そう。ケーキは頼んだんだけど、プレゼントは何も思いつかなくて・・・」


「まぁ仕方ないんじゃない?男の人にプレゼントなんてあんまりしないしね」


「うん。それに、晴太さんなら何でも持ってるでしょ?持ってなくて欲しいって思ってるものが分かんなくてさぁ」




実用的な物の方が、使ってもらえるし、もらう方もありがたいよね。


だけど、実用的な物で晴太さんが欲しい物って?


ネクタイとかハンカチとかワイシャツなんてありきたり。


ちょっと高いデスクペンだって、晴太さんならいくらでも持ってそうだし・・・




考えても考えても、ピッタリ合うものが思いつかない。


美羽は、この数日間ずっとその繰り返しなのだ。





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