籠のなかの花嫁
学校に着いて教室に行くと、梨奈がもう来ていた。



「おはよう、美羽。今日も寒いねぇ」


「うん。もうマフラーと手袋つけてきた」


「あら、美羽さんはそんなことしなくとも、愛する恋人がいるじゃないの?晴太さんに温めてもらったら?」



ニヤニヤする梨奈。


ジロッと睨む美羽。



「お見合いして、同棲して、ようやく心が通じあったんでしょ。あたしにはよくわからないけど」




その言葉の裏には“美羽が教えてくれないから”というのが隠れている。



「ごめんね。それにあの時はありがとう。近いうちに全部話すから・・・」


「・・・・・・・・うん。わかった」



梨奈は少し驚いた顔をしたが、間をあけてから頷いた。




だけど、大事な人には知っていてほしいから・・・







「それはそうと、晴太さんへの誕プレは買ったの?」


「あ・・・うん。買った。今日は早く帰ってきてもらうようにも頼んだし」


「そっか。うまくいくといいね。で、誕プレの中身は?」



“当然教えてよね”とでもいうような表情で、顔を出す。




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