籠のなかの花嫁
「あいつが、君に相応しいかどうか見極めるのさ」



由良がそういうと、影から何人もの男が現れた。




まさか、この男たちと戦わせる気じゃ・・・




「分かった?この人達は俺の友達。この人達に勝てたら、あいつのこと認めるよ」




不気味に笑う男たち。




「晴太さんの力量を計るのが、どうしてケンカなの?晴太さんは大人よ?ケンカなんかするわけない」




それに、ここでそんなケンカなんかして、警察ざたになったら晴太さんの将来が・・・



「男は女を守んなきゃだろ?綺麗な中宮を他の男から守るためには、強い男じゃないとな」


「何なのそれ。ずいぶん勝手な言い分ね!」


「うるさいなぁ。囮は静かにしてて。約束の時間まであと10分。さて来れるかな?」




10分?

壁にある時計を見ると、4時50分。

晴太さんが帰ってくるのはいつも7時頃。



「まだ仕事中なんだから、来れるわけないじゃん。待つだけ無駄」


「それならそれでいいよ。君を奪うだけだから。5時を過ぎたら・・・この後ホテルでじっくりと」



拘束されてさえなければ、殴ってたのに!



あたしは拳を握り締めた。




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