籠のなかの花嫁
あと5分。



彼らがどうやって晴太さんにこのことを伝えたかは知らないけど、もしも伝えていたとしても晴太さんが来れるはずない。



学生とは違うんだから、社会人その中でも、会社の重要なポジションに立つ晴太さんが、途中で抜け出せるはずない。



それに、また、迷惑かけちゃった。




美羽は小さくため息を吐いた。




「あと3分だね。中宮の彼氏、彼女よりも仕事をとるんだ。冷たいねぇ。あの時はあんなに熱く君への想いを言ってたのに」



由良に晴太を貶され、美羽はキッと由良を睨んだ。




「そんな低レベルな天秤のかけ方しないで。人の気持ちとものを比べるなんて子どもの考え方だね」


「本音はどうかな?」


「え?」


「本当は来てくれなくて悲しいんでしょ?強がらなければいいのに。・・・しょせん、彼にとってはそこまでの存在だったんだよ。中宮は」






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