籠のなかの花嫁
アンタに何が分かるのよ。



「人を表面上でしか見ないアンタに、何が分かるの!?」


「はっ?」


「晴太さんの中のあたしの存在の大きさなんか、アンタにわかるわけないでしょ?あたしと晴太さんのこと何にも知らないくせに、この状況だけで変な言いがかり言わないで!」



その瞬間




バァンッ──────




「っ?!」



一斉に音のした方を見ると




「っ・・・・・・晴太さん」


「ふー・・・ギリギリだったな」




開け放たれたドアのとこにはスーツ姿の晴太さんがいた。



来てくれたの?


迷惑かけたのに?


仕事はどうしたの?



色んな気持ちが込み上げてきた。




「惜しかったなぁ。あと少し遅く来てくれてたら、中宮を食べれたのに」


「フンッ大事な美羽を、盛ってるだけの乱暴なてめぇに食われるわけにはいかねぇんだ」


「何だと!?」


「そんなことより、約束どおり1人で来たぞ。俺と差しの勝負だったな」




スーツの上着を脱いで、その辺に放り投げ、美羽と由良に近づく晴太。




え?差しの勝負って・・・





< 178 / 223 >

この作品をシェア

pagetop