籠のなかの花嫁
「美羽さんですね」



後ろから声が聞こえて振り向くと知らない男の人がいた。



「今ほどきますから。ちょっとジッとしててくださいね」




手首と足首のロープを切ってくれた。



おかげで体が自由になった。



いつの間にか由良も加わわっているケンカ。




美羽が晴太のもとにかけよろうと前に出ると、腕を捕まれた。



「さぁ、あいつらが遊んでいる間に、あなたはあそこから逃げなさい」


「でも晴太さんが」


「言ったでしょ?晴太にとってあれはただの遊び程度。あいつ柔道の有段者ですから、簡単にはやられませんよ」


「・・・・・あなたは」



美羽が彼に名前を聞こうとした瞬間



「おい!!」



由良が二人に気付いてしまった。



ケンカをしていた男たちの動きが止まり、由良の瞳は晴太に向いた。




「お前、一人できたんじゃなかったのかよ」


「そんなこと言ったか?」



さっきと立場が逆転した。



「言ったはずだ。1人で来なければ中宮は俺が奪うって」




由良は鼻で笑いながら、勝ち誇ったような態度を見せた。




「自分勝手な奴だな。まぁどうでもいいが。・・・奪えるもんなら奪えよ」



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