籠のなかの花嫁
晴太が真顔で言った。



「晴太さん・・・・・・」



美羽が男の影から晴太を見つめる。





「その男を倒せるならな」



それを聞いて由良はおかしそうに言った。



「あんな優男、相手じゃねぇよ」



確かに言葉遣いも丁寧で、顔も中性的で、朗らかな印象を与える男だ。



しかし、由良の前に立つ彼からは怯えも強がりも感じない。



堂々とまっすぐに由良を見つめる強い瞳が、そこにあった。



彼は小さく笑うと、言った。




「私に手を出すことは可能でしょうが、この大きな組織を敵に回すとやっかいですよ」


「何だと?・・・・・っ!!」




男が手にしたものを見て、由良は顔を青くした。



美羽も驚きを隠せなかった。




「あなた、刑事だったの?」


そういうと、彼は美羽に振り向きふわりと微笑んだ。



そして大声で叫んだ。




「日向由良、並びにその仲間も、誘拐及び婦女暴行未遂容疑で逮捕する!!!」



すると、外で待機していたらしい他の刑事達に、由良達はあっという間に捕らえられてしまった。




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