籠のなかの花嫁
「“大好きな彼と出会えたのは彼が生まれてきたから。だから、生まれてきてくれてありがとうって言うんだ”って・・・だから晴太さん」


「・・・・・?」


「生まれてきてくれてありがとうございました」



美羽の言葉に、俺は息をするのも忘れてしまいそうだった。




「さぁ、ろうそくを吹き消してください」


「・・・・・・・・・・・・あぁ」



美羽が梨奈ちゃんの誕生日プレゼントを選んでいたとき、こんな日なんて来ないと思った。



美羽が俺を思いケーキを用意して俺の誕生日を祝ってくれるなんて、誰が想像できただろう。



美羽が俺が生まれてきて出会ったことを喜んでいると、思っていいんだよな?




「ありがとう」



ろうそくを吹き消してから、それを言うだけで、精一杯だった。



「あ、それからこれがプレゼントです」



電気をつけてから、おずおずと出してきたのは、少し大きめの箱だった。



「開けてもいいか?」


「はい」



リボンをとき、包み紙をとり箱を空ける。


中から出てきたのは




「・・・・・・・・・プラネタリウム?」


「はい。家で使うものなので小さいですが」




< 187 / 223 >

この作品をシェア

pagetop