籠のなかの花嫁
小さな体で小さな声で、晴太は言った。



｢お前が嫌だと思ったんだ｣


｢え？｣


｢美羽は、あの夫婦とは仲が悪いんだろう？だからパーティーの話をするのは気が引けて･･･それに、前回みたいにお前の心が離れていくのが怖かったんだ｣



正面を向いて顔を両手で隠してはいるけれど、耳が真っ赤な晴太さん。


あたしとおじ夫婦が親子じゃないことも仲が悪いことも知っていたなんて。




｢離れていきませんよ。絶対に｣


｢美羽？｣


｢確かに、あの二人には会いたくもありません。でも、あなたと結婚するなら、通らなければならない道です｣



そう。


大切な人が出来たから。


かけがえのない人が出来たから。


あなたがいれば、あたしは勇気を出せる。


どんなに通りたくなくても逃げないで、身を奮い立たせることが出来るんだ。




｢今日だって、晴太さんがケガをするんじゃないかって心配で仕方なかった。･･･だから、あなたが傍にいてくれること、それで私は十分なんです｣



そういうと、晴太は強く美羽を抱き締めた。




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