籠のなかの花嫁
「晴太さん。あたしの話も聞いてください。あなたと結婚をするなら、言わなくちゃいけないことがあるんです」



涙を拭い、美羽は晴太から離れようとした。



しかし、晴太の腕に逆に引き寄せられた。



「このままでいよう。このままで話してくれ」



ぴったり体を寄せあう態勢で、美羽は話し始めた。




自分が、本当はあの二人の娘ではないこと。


早くに両親と姉を亡くし、あの二人からは存在がないように扱われ、憎んでいたこと。


だから、ある計画を立てたこと。


そして─────────



「その計画を実行するためそしてあの二人に恥をかかせるために、あたしは晴太さんをも利用しようと思っていました」



結婚の約束をして、全てが上手くいくと思わせ、式の前日に計画を実行する。



「あたしはこんなことを考えていた人間です。それでもいいんですか?」




力なく自嘲の笑いを浮かべる美羽に、晴太の言葉は意外だった。




















「ずっと1人で、苦しんできたんだな・・・」




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