籠のなかの花嫁
そして翌日。



「お久しぶりです、美羽さん。」


「こんにちは安永さん。お願いします。」



学校が終わった後、迎えに来ていた車に乗り込み、美羽は中宮家に向かった。




車の中から空を見上げると



「降りそうですね。」


「はい。帰りもお願いしてもよろしいですか?」


「それはもちろんですが、今夜はお泊りになった方がよろしいかと。」


「いいえ。帰ります。」




あの家には、長い時間いたくない。





ポツリ──────────







とうとう雨が降ってきた。





「お邪魔します」



屋敷に入り、おじ夫婦への挨拶が済むと、早速本題に入った。




「美羽、見合いをしなさい」




おじの口から出てきた言葉は、美羽の予想を遥かに越えたモノだった。




「なぜですか?」


「相手の方はとても良い方だ。お前よりも11歳上だが、問題ないだろう。見合いは1ヶ月後だ。準備はこちらで全て行う。近くなったらまた連絡をする。以上だ」


「ちょっと、待って下さいおじ様!!高志おじ様!!」



美羽の必死の声にも振り返らず、用件だけ言い終えると高志は部屋を後にした。



美羽はただ、立ち尽くすしかなかった。




雨は本降りとなり、強く窓を打ち付けていた。




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