籠のなかの花嫁
「あら、千恵子さん。そのブティックってもしかしてあそこの?」


「えぇ、そうなんですの。今度ご一緒に行きませんか?」


「いいですわねぇ」




叔母の声を聞いた途端に美羽の拳に力が入った。




「美羽・・・・・」


「分かっています。だけど、そう簡単に消える気持ちじゃないんです」



晴太との結婚はこの二人の望んでいること。


確かに結婚は心から望んでいることだが、それであの二人が喜ぶのを素直に笑って見ていられるほど、やはり自分は大人じゃないと思ったのだ。




それを晴太に言われたのだと思ったのだが、晴太は首を振った。



そして握っていた拳を開かれ手を握られた。



いわゆる恋人繋ぎ。




「握りたくなったら握れ。お前の力なんて、俺にはどうってことないしな」


「・・・・・・ありがとうございます」




拳を握る姿が不自然にならないように、そして美羽が1人で抱え込まないようにという、晴太の思いやりだった。





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