籠のなかの花嫁
だが、それを見た千恵子はすかさず突っ込んだ。



「まぁまぁ、若いわねぇ」



カッコ付けたくても、この母親がいてはつけようがないなと、晴太はため息を吐いた。





「じゃ、そろそろ時間だし行こう」



そして、晴太の父の言葉でようやく二組の夫婦は腰を上げた。




晴太の両親と、千恵子と話す叔母の瞳が出て行ったが、美羽の叔父の高志は美羽を引き止めた。




「晴太くん、ちょっと美羽を借りるよ」


「・・・・・えぇ。外で待ってます」




パタン─────────



ドアが閉まると、叔父は口元に笑みを浮かべた。




「あれほど嫌がっていたが、どうやら上手くいったみたいだな」


「はい。晴太さんがとても私を想ってくださいましたので」


「まぁ、それはどうでもいい。会社のためにお前はよく従ってくれたな。これは褒美だ」



手渡されたのは、カードだった。




「ここのホテルのスイートだ」


「え?」


「お前の次の仕事は子どもだ。同棲中だ、事はもう済ませているんだろ?せいぜい飽きられないように頑張るんだな」



“美鶴ちゃんには叶わないが、お前の取り柄は美しさぐらいだからな”




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