籠のなかの花嫁
美羽と晴太は、二人で挨拶に回った。





「三山様、本日はおいで頂きましてありがとうございます」


「おぉ、晴太くん。かしこまらなくていいよ。・・・いやぁ、こんなに若くて美しいお嬢さんをもらうなんて、泥棒だなぁワハハハ」



竜郎の古くからの友人で、晴太も幼い頃から知っている人物だった。



ふくよかな体系と、周りまでをも誘う明るい笑顔。



晴太も緊張がほぐれている様子だと、美羽は感じた。



「えぇ。どうやら俺はロリコンなようです」


「はぁ、てっきりうちの麻彩をもらってくれると思っていたよ」



晴太の“ロリコン”発言に顔を赤くしていた美羽が反応した。




「そう言えば、麻彩はどうしたんですか?」


「すっかり落ち込んでいてね。今日は家に置いてきたんだ」


「そうですか。それなら、今度二人でお邪魔させて頂きます」




“いつでも来てくれ”それを最後に晴太と美羽は彼と別れた。




「ねぇ、晴太さん。麻彩さんて?」


「気になるのか?」



ニヤリと笑う晴太に美羽は“・・・話したくないなら聞きませんけど”と顔を反らすと、隣からはクスクスという声がした。




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