籠のなかの花嫁
「何を笑って・・・」


「安心しろ。この世で俺の女はお前だけだ。・・・麻彩は今の三山さんの孫だよ。ちなみに5歳だ」




その言葉に美羽は目を丸くした。



あ、でもお義父様と同じ年くらいだとすれば、晴太さんほどの子どもがいて、孫がいてもおかしくないもんね。




「どういうわけか、親戚の大人たち以上に、赤の他人の俺に懐いちまったんだよなぁ・・・」


「子どもは、本当に優しい人を見抜くと言いますから、晴太さんの優しさが伝わったんじゃないですか?」




俺は、お前に伝わればそれでいいんだけどな・・・



チラッと美羽を見て、そう思う晴太だった。




だが、すでに美羽違う方向に目を向けていた。





「奈々枝さん」


「あら、美羽ちゃん。婚約おめでとう」


「ありがとうございます。奈々枝さん、寛人さん」




大勢の招待客の中に、懐かしい夫婦の姿を見つけ、美羽は思わず駆け寄った。




「いい旦那さまを見つけて、本当によかったわね」


「きっとご両親も喜んでいるだろうな」


「はい、そう願っています」





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