籠のなかの花嫁
そして、二人は只今新婚旅行を満喫しているのだ。




しかし、その新婚旅行は通常とは少し変わっていた。




「さぁ、買い物も済んだしそろそろ家に帰るぞ」


「いいけど、なんで外に出るのがそんなに嫌なの?」


「べ、別に嫌がってねぇよ!」




そう。


旅行とは表面上だけで、この旅先でマンションを借り、そこに1週間滞在するというものなのだ。




そしてその行き先とは




「せっかくポルトガルに来たのにもったいないでしょ」




美羽が家族との幸せな思い出が詰まった場所だった。



結婚式と新婚旅行を計画したのは全て晴太だった。



美羽が果たそうとしていた計画を聞いたときに、決意したそうだ。




美羽がずっとあたため続けていた計画とは、高校を卒業後ポルトガルへ行き、そこで生涯過ごすということだった。



家族との思い出がたくさんある場所で、自分で幸せを見つけて暮らしたい。




そのために美羽は、両親の残した遺産があるにも関わらずバイトをして、独学でポルトガル語まで勉強していたのだ。



< 220 / 223 >

この作品をシェア

pagetop