籠のなかの花嫁
信じられなかった。



“見合いをしなさい”



それだけでも十分あたしには、ショックが大きいのに・・・



どうして今、あたしの目の前にはその相手がいるの?



玄関で話すわけにもいかず、美羽は晴太に家に入ってもらった。




素早く身仕度を整えてから、お茶を出している間も、後ろから晴太を観察していた。



晴太はソファーに座り、動かずジッとしていた。





「お待たせしました」


「あぁ、どうも」



美羽はお茶を置くと、晴太とテーブルを挟んで座った。



暗いブラウン色に染められた髪の毛に、長い指が特徴的だ。



身長はそこそこだが、スポーツをやっていそうな体付きにも見えた。



外見を観察していると、晴太がふと顔を上げ視線が絡んだ。




「驚かせて悪かったな。まさか見合い相手が会いに来るとは思わなかっただろう」


「・・・はい」



美羽はそう言ってからすぐに“あの・・・”と呟く。



「なんだ?」


「私、お見合いの話し、昨日初めて聞いたんです。」


「昨日?・・・そりゃぁ、ホントに悪いことしたな」



ボソボソと喋りながら、申し訳なさそうにする。


多分、今日会いに来たことを言っているのだろうと、美羽は思った。



「それで、お見合いですが、私はお断わりします」




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