籠のなかの花嫁
ようやく一人になって、ホッと一息。



これから毎日、こんな窮屈な思いをしなくちゃいけないのかな・・・?



美羽は傍にある写真立てに手を伸ばす。



写真に映っているのはもちろん、美羽のかけがえのない家族。



お母さん、お父さん、お姉ちゃん

でもあたし、頑張るから。

あの計画が上手く行けば、あたしはまた新しい人生を歩める。

そのための試練だと思えば良い。



そう、あの計画を成功させるまでの辛抱。




美羽は自分に言い聞かせた。






そして、荷物の片付けが終わる頃には日が傾き始めていた。


そこで思ったことが一つ。



「晩ご飯て・・・あたし?」



晴太が住むここは高級マンション。


しかし、おじ夫婦のところのように、お手伝いさんはいない。



全て晴太が自分でやっている。



だがこれからは、家事などは美羽の仕事になるのだろうか。



ま、それが普通か。

不本意だけど、お世話になる身だし、豊川さんは仕事があるもんね。



自分のアパートでもやっていたのだから、何ら変わりないが、不本意な同棲であるが故に、ため息が出る。



自分一人の時なら、ご飯は適当に作っていたが、誰かと暮らし作る以上、そういうわけにはいかない。




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