籠のなかの花嫁
一瞬空気が凍った気がした。
自分でも、表情が崩れたのがわかった。
今までだって、おじ夫婦の家で嫌というほど味わってきた嫌味や陰口。
だが、いつもそれら全てを笑顔で跳ね返してきた。
なのに、何でこんな男(ひと)に言われただけで・・・
自分で思った以上に、打撃を受けた美羽。
しかし、それを見て晴太も、刺されたような表情になっていた。
「・・・悪かった」
そう一言呟いた。
「いえ。その方が楽ですから。晩ご飯作るんで、待っていて下さい」
“あぁ・・・悪い”と歯切れの悪い声を聞きながら、美羽は台所に入っていった。
作り笑顔なんて、誰が好んでやる?
辛い生活を何年も過ごしたあたしには笑顔なんて知らない間にとっくに消えていた。
家族と愛を失い、ポッカリとあいた穴を埋めることが出来ないままここまで来た。
友達が出来ても何が周りにあっても、決して修復できない穴。
そんなことも、何も知らない男に言われて、何であたしは傷ついたの?
たかが、何ヵ月かの付き合い。
それを作り笑顔なしでいいって言った。
楽じゃん。
気を遣って、楽しい、嬉しいフリをしなくて済む。
なのに、何でよ・・・・・・
自分でも、表情が崩れたのがわかった。
今までだって、おじ夫婦の家で嫌というほど味わってきた嫌味や陰口。
だが、いつもそれら全てを笑顔で跳ね返してきた。
なのに、何でこんな男(ひと)に言われただけで・・・
自分で思った以上に、打撃を受けた美羽。
しかし、それを見て晴太も、刺されたような表情になっていた。
「・・・悪かった」
そう一言呟いた。
「いえ。その方が楽ですから。晩ご飯作るんで、待っていて下さい」
“あぁ・・・悪い”と歯切れの悪い声を聞きながら、美羽は台所に入っていった。
作り笑顔なんて、誰が好んでやる?
辛い生活を何年も過ごしたあたしには笑顔なんて知らない間にとっくに消えていた。
家族と愛を失い、ポッカリとあいた穴を埋めることが出来ないままここまで来た。
友達が出来ても何が周りにあっても、決して修復できない穴。
そんなことも、何も知らない男に言われて、何であたしは傷ついたの?
たかが、何ヵ月かの付き合い。
それを作り笑顔なしでいいって言った。
楽じゃん。
気を遣って、楽しい、嬉しいフリをしなくて済む。
なのに、何でよ・・・・・・