籠のなかの花嫁
だが、この日はいつもとは違った。



晩ご飯の片付けが終わり、自室に戻ろうとリビングを通ると



「あ、おい」



珍しく、晴太が声をかけてきた。



「はい?」



振り替えれば、手招きをされるので、ソファーの晴太の隣に座る。



「お前に渡したいものがある」


「何ですか?」



すると、テーブルの下に置いていたらしき袋を取り出し、美羽に手渡す。



「開けてみろ」



言われた通り、袋から赤い包み紙に包まれた箱を取り出す。


開けてみると・・・



「お財布・・・」



人目で分かるような、ブランドのお財布だった。



何でこんな物。



「良ければ、使ってくれ。この間の詫びだ」


「この間の件は、気にしなくて良いと言ったはずです」


「俺は気に食わなかったんだ。確かにこんな物で詫びることじゃないが、それでも・・・何かしたかったんだ」



そう言われても、美羽は受け取る気は毛頭なかった。


しかし、ここで受け取らなければ、また話が長くなると予想し、素直に従うことにした。



「ありがとうございます。大事に使わせて頂きますね」




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