籠のなかの花嫁
そして、車は思った通り、海の前で停まった。



「着いたぞ。降りよう」


「え?あ、はい・・・」



何でこんな時間に海?

しかも、秋に近くなってるせいか少し肌寒い。



美羽は薄手のカーディガンの前を合わせた。



するとそれを見た晴太が自分の上着を脱ぎ、美羽にかけた。




「え?」



美羽がキョトンとすると



「寒いんだろ?俺は平気だから着てろ」



そう言うと、浜辺に歩いて行ってしまった晴太。



ハッとして美羽も追い掛ける。




近くに行くと、晴太は上を見上げていた。




首を傾げてから、美羽も上を見上げると





あ─────────・・・・・





「きれぇ・・・・・・」





素直にそう思い、無意識に口にしてしまう程、美しい星空がそこに広がっていた。







《お母さん、きれいだねぇ》


《そうね。・・・美羽のおじいちゃんやおばあちゃんはあそこにいるのよ》


《あそこに?おじいちゃんとおばあちゃんはしんだんじゃないの?》


《そうよ。人は皆、死んだら星になって私達を照らしてくれるのよ。》


《てらす?》


《そう。暗い空を照らして明るくしてくれるのよ》


《ふーん・・・》



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