籠のなかの花嫁
そして、見合い当日────


美羽はおじ夫婦に呼ばれ、二人の家で着物に着替え共に見合いの席へ向かった。



「晴太くんとは既に同棲しているようだが、ご両親の前では粗相のないようにな」


「はい」


「それから、この見合いは我が社の未来が決まる大事なモノだ。くれぐれも失敗するなよ」



やっぱりね。
そんなとこだろうと思ったわ。

失敗するなよって・・・もう結婚決まってるくせによく言うよ。



「・・・はい」


「美鶴ちゃんの妹ですもの。大丈夫よね、美羽ちゃん」



おばは、美羽のテンションを上げようと、いつになく笑っていた。



「えぇ、おば様。お世話になったお二人のためにも、成功させてみせますわ」



と、美羽はとびきりの笑顔で言った。



その笑顔に、二人が驚いたことには気付かなかったが。





「さ、さぁ着いたぞ」



見合いの会場は、都内でも有名なホテルだ。




あの男(ひと)が余計なことを言わなければいいけど・・・



美羽は、それだけが心配だった。





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