籠のなかの花嫁
部屋へ案内され、座って待っていると、別室にいた晴太とその両親が現れた。



「お待たせしました中宮さん」


「いえいえとんでもない」


「今日はよろしくお願いします」


「こちらこそ」



晴太の両親は思っていたよりも、穏やかで柔らかい印象だった。



「こちらがお嬢さんね。初めまして美羽さん。晴太の母の千恵子と言います」


「私は父の竜郎だ。これからよろしくね」


「こちらこそよろしくお願い致します。いつも晴太さんにはお世話になっております」


「いやいや、世話になっているのはこちらだよ。学校から帰ってきたら、家のことを何でもしてくれていると聞いた。」


「高校生だもの、遊びたい時期でしょうに・・・ごめんなさいね。晴太がどうしても同棲するときかないものだから」


「か、母さんそんなことはいいだろう!」



晴太が慌てて母の口を止めた。



「私のことは大丈夫です。時々は友人と遊びに行ったりもしていますので。お気遣いありがとうございます」



そう言って微笑めば、晴太の両親は“あらあら”や“なるほどな”と呟きながら晴太を見た。




晴太は嫌そうに、だが頬を染めて、必死に二人の視線から逃げていた。




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