籠のなかの花嫁
話を聞いている様子だと、晴太の両親は、美羽とおじ夫婦は実の親子だと思っているらしい。



「出来た娘さんで羨ましいですな」


「とんでもない。まだまだ子どもですよ」


「そんなことないわ。若いのに、家のことを安心して任せられると晴太も言ってましたし。きっとお母様の教育がよろしいんでしょうね」


「そんなことありませんよ。晴太さんは、娘には勿体ないぐらい立派な方で・・・いつも、頼りになると聞いております」



おじ夫婦も、否定せず娘と言っていることから、姪だということを隠している様子が伺える。



その上、あることないことよく喋るわ。

でも、従うしかないか。

こんな二人に親面が出来るのも今のうちだけと思えば、我慢も出来るし。

“むすめ”

いずれ、そう呼んだことを心底後悔する日が来るだろうに。



クスッと失笑してしまった。




「美羽・・・」


「え?」



名前を呼ばれハッと顔を上げれば晴太と視線があった。



「何ですか?」


「いや・・・食事が全然進んでないから」


「あ。あまりお腹空いていないので」


「そうか」



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