籠のなかの花嫁
それからご飯を食べて映画を観て、二人は別れた。



「それじゃぁね」


「うん。また明日学校で」




別れて歩きだした後、梨奈はもう一度後ろを振り返った。




何だか美羽、痩せた気がする。


ううん、やつれたって言った方があってるかな?


ずっと時計を気にして、帰る時も何かすごく元気なかったし・・・


家に、帰りたくないのかな?



トボトボと歩く美羽の後ろ姿を見て、梨奈は思う。



自分に何か出来ないものかと・・・



だが、美羽の性格を一番知っている梨奈は、美羽が絶対に話さないことを一番よくわかっている。



だからこそもどかしい。



一番よくわかっている相手だからこそ、自分が親友だと思っているからこそ、何かしてあげたい。



美羽・・・・・・・・・・・・・




「んっ・・・!!」



その時、強く風が吹いた。



冷たい風は、冬の訪れを知らせているようだった。





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