籠のなかの花嫁
『美鶴ちゃん!!しっかりして』


『おねえちゃん!!おねえちゃん!!ヤダよーー!』




両親の死後二人は親戚のもとへ引き取られ、暮らしていた。



しかし、環境の変化と両親の死というショックで、美鶴は体調を崩してしまったのだ。



その結果、病気にかかり衰弱する一方となってしまった。




『美羽、あたし美羽の笑った顔大好きだよ』


『おねえちゃん・・・』



死の間際、美鶴は必死に美羽に伝えた。



『美羽の笑った顔見るとね元気になれるんだよ。お母さん達も言ってたもん』


『うん・・・うん・・・笑うから・・・笑うから・・・』



美羽は泣きながらも笑顔を作ろうと頑張った。




『美羽、美羽の名前はね、“いつも自由に空を羽ばたく鳥の様に伸び伸びと育ってほしい”って考えてお父さんがつけたんだよ』


『え?』


『一生懸命一生懸命、考えてお父さんがつけたんだよ。忘れないでね』



突然の言葉に美羽は不思議な顔をしたが、美鶴が小さな声で呟く言葉を決して忘れないと思った。




『おねえちゃん?』


『・・・・・・・・・・・・・』


『美鶴ちゃん!』
















『おねえちゃん!!!!』




美鶴は、両親の後を追うように、9歳でこの世を去った。





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