籠のなかの花嫁
リビングに行くと、晴太はテレビを見ていた。



家族の写真は、こういうことも考えて、絶対に見られない場所に隠しておいた。


でも、勝手に人の部屋に入って何を探っていたの?


彼があたしの部屋に入る理由なんかないはず・・・



美羽は傍まで行くと、晴太の背中に話し掛けた。



「あの・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「あの!」



ピッ───────



聞こえていないのかと思い、大きく呼び掛けると晴太はテレビを消し、振り向いた。



「呼ぶときくらい名前で呼んでくれ」


「そんな必要ありません」



いつも以上に強い口調に、晴太は眉根を寄せた。



「人の部屋に無断で入る人の名前なんて呼びたくありません」


「っ!?」


「あたしの部屋に入りましたね。テープに指紋がついていました。この家には、あなたとあたししかいないんだから、引き出しをあけたのはあなた以外考えられません」


「・・・・・・・・・・」


「何で部屋なんかに・・・」




晴太は、俯き口を固く閉じたまま動きませんでした。



「あたし、部屋に勝手に入る人となんて結婚しても上手くやっていく自信ありません・・・・・・出ていきます」



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