籠のなかの花嫁
あたしの気を引くため?

どうして・・・?



美羽はますます頭が混乱した。




「結局、良いものは見つからなかったし、おまけにお前に嫌な思いもさせた。気を引くどころか、さらに嫌われたな」



晴太は自嘲の笑みを浮かべた。


その表情を見ると、複雑な気持ちになった。



怒っているはずなのに、胸が締め付けられる。



何で、何で・・・?




「何で?」


「ん?」


「何で、あたしの気を引こうなんて・・・こんな可愛くない女、構うだけ無駄でしょ!」



あなたに極力近づかないようにしたり、プレゼントだって今まで全て捨ててきた。


一緒にいる時間だって、出かけるときや食事の時間だけ。


笑うときだって愛想笑いだけ。


そんなあたしの気を引こうだなんて、馬鹿げてる。



「あたしの気を引いたって、何のいいこともないのに・・・」



いずれは別れる関係。


あたしは、いずれあなたを裏切るの。


自分のためにね。


だから、あたしの気を引いたって後悔するだけよ。




「何でか、言わなきゃ分からないのか?」




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