籠のなかの花嫁
「あたしも、あなたが部屋に入ってないかとか、疑ってテープなんて貼ってたし。普通の女子高生がすることじゃないですよね」



クスッと自重気味に笑うと、晴太は安心したように深いため息吐いた。



「あ〜・・・良かった」


「え?」


「もう口も聞いてもらえないんじゃないかと思ってたから・・・」



何度も“良かった。良かった”と呟く晴太に、美羽はまた小さく笑った。



「あ、また笑った」


「え?」


「やっぱり、お前はそうやって笑った方がいいな」



そう言いながら、晴太は美羽の頭を撫でた。




頭を撫でられたことなど、両親と姉が亡くなって以来だった。



その手のおかげなのか、美羽は肩に入っていた変な力を抜くことが出来た。



しかし、あることに気が付いた。




「あの、コレは・・・?」


「あ"・・・・・・・」



美羽が掴んでいたのは、自分が着ている服。



自分の物ではないから、コレは




「ごめん。俺のパジャマ」





え・・・・・ってことは





「着替えさせたのって・・・」



美羽が赤い顔を更に赤くさせながら聞くと





「俺です・・・・・・」





と晴太が申し訳なさそうに呟いた。




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