籠のなかの花嫁
「突っ張り通しなら、俺だって面白くないなって感じたかもしれねぇが、お前はそうじゃない」


「・・・・・・え?」


「だが、これ以上は言わないどくよ。調子に乗りすぎてお前に嫌われたくないしな」



そう言うと、晴太はドアの近くの棚に置いた器を持った。



そして“それから”と思い出したように呟いた。



「今から突っ張り続けても、俺はもうお前のこと嫌いになんねぇからな」


「そんなこと」


「分からないってか?まぁ、やってみてもいいが、無駄な苦労だったって、お前が後悔するだけだぜ」


「っ・・・・・・・」


「じゃぁ、後は寝てろ。興奮して熱が上がらねぇようにな」



余計なお世話よ!!


部屋から出ていく晴太の背中に悪態をついた美羽だったが、言われた通り、素直にベッドにもぐり目を瞑った。




ここまで、あたしの気持ちを分かった人なんか今までいなかった。


何で縁も所縁もないあんな他人に分かるの?







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