籠のなかの花嫁
単純なことにそれは、それだけ美羽のことを想っているからということだが、そんなこと美羽に分かる訳もない。



誰が聞いても、晴太が言った言葉の中に美羽を愛しく想う気持ちが込められていることは明白だ。



不器用で口下手な晴太が、どうにか美羽の心に入りたいと思い、必死な想いで言葉を紡いだのだ。



美羽は人と深く関わらないようにしているが、本当は誰よりも愛情を欲していることもよく分かっている。



でも、それを恐がっていることも・・・。



それがなぜなのかは分からない。



美羽の人生の中で、異常に人との関わりに頑なになる何かがあったことは間違いない。



そこまで分かっていて、調べようともしなければ、美羽に無理に聞こうともしない。



それは、いつか自分に心を許してくれるそのいつかを待ってるからだろう。







でも恐い。


誰かに隙を見せることが


誰かに弱点を見せることが


でも、彼なら


そう思う自分もいることは確かで・・・




そこまで考えて、いつの間にか美羽は眠りに就いていた。


まるで、大きく揺れる頭をストップさせるように──────









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