籠のなかの花嫁
・─晴太side─・


「なぁ晴太、今日飲みに行かねぇか?」



就業時間が過ぎて、皆が帰り支度を始める頃に、晴太の同僚の若林が話し掛けてきた。



「いや、今夜は無理だ」



そんな若林を気にせず、黙々と作業を進める。


そんな晴太を見て、ずっと気にしていたことを若林は聞いてみることにした。



「なぁ、お前その女子高生に本気だって話し、マジなわけ?」


「あぁ」


「あぁって。いくつ下だと思ってんだよ。子どもだぞ?」



呆れたようにため息を吐く若林にフッと鼻で笑う。



「その子どもと今日は大事な約束があるから、飲めねぇんだよ」



やっと終わった・・・・・

あ、メールしとくか。



作業が終わり、今帰るというメールを打つ。



「お前がロリコンだったとは、驚きだよ」


「ったく、どいつもこいつもロリコンロリコンうるせぇよ」


「言われんの当たり前だろ。10歳以上も離れてんだろ?」


「10歳、20歳離れてようが、自分にとって最高の女と出会えたんならそれでいいだろ」



“人の恋愛どうこう言う前に自分のどうにかしろよな”



晴太はそう言うと、口をポカーンと開けたままの若林を置いて、さっさとオフィスを後にした。



< 92 / 223 >

この作品をシェア

pagetop