籠のなかの花嫁
特に話を聞いていないため、どこへ行くかも分からない。



でも晩ご飯を作らなくていいということは、きっとどこかご飯を食べに行くのだろうと美羽は予想していた。



そう考えると服は、シックな方がいいかな?



黒のバルーンショートパンツに、クリーム色のビジュー付きプルオーバーそしてロングコートを



「そんなにかしこまった場所はいかねぇぞ?」


「・・・・・・・・・・・・・・え?」




突如聞き慣れた声のする方を見ると



「晴太さん!?」


「ん。ただいま」



最初から開かれていた美羽の部屋のドアの所から顔だけ覗いていた。




“お、お帰りなさい”たどたどしく言うと、そのまま自室へ行ってしまった。





美羽が熱を出した時から、二人の間の空気は大きく変わってきた。



会話も増え、それに伴い一緒にいる間の時間も増えたのだ。



家にいる時でも、二人でリビングで過ごす時間が多くなった。





かしこまった場所じゃない?

じゃぁもっとラフな格好でいいってことかな?




美羽はもう一度タンスを開けた。




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