leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
 和紗の曲がみんなに受け入れられる事が、オレの望みでもあった。もっとたくさんの人達に和紗の曲を聴かしたい……その気持ちはもちろん今もちゃんとある。

 けど、それとはどっか別の所で『なんで和紗ばっかり』っていうオレがいて、あいつを羨む気持ちが日を追うごとに少しずつ育っている。

 こんな風に考えるオレはなんて友達甲斐のない奴なんやろう。

 オレが知らんだけであって、和紗はその分陰で努力してたんやろう。それがタイミング良く認められた。今の幸運はきっと、和紗の努力に対しての当然の結果。

 そやから羨んだって仕方ない。それにホンマはわかってる。ただの妬みなんやって事。ちっさい時から知ってる奴が、いつの間にかオレを追い越してどんどん違う場所に向かっていく事に対しての焦り。特技や目指す目標も何もないオレだけが取り残されてる錯覚に囚われてるだけなんや。




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