leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
 ここ最近はずっとそんな事ばっか考えていて、上の空な状態が多かった。

 気のせいやと思い込もうとしても、それは消えるどころかむしろ色濃くなっていく。

 心の中でもがいてるくせに、表面上ではいい顔を見せて取り繕ってる。今のオレはうまく笑えてるんやろか……。







 飲み会を終えて、ゆきなちゃんを送る和紗と別れ、オレは唯と夜道を歩いていた。

 冬から春へと移り変わる季節を迎えてるとはいえ、夜はまだ肌寒い。

 上着のポケットに手を突っ込みながら歩いてると、斜め後ろを歩く唯が、ねぇと声を掛けて来た。

「……今日、楽しくなかったの?」

「え……?」

「心ここにあらずって感じだったわよ」

「…………」

 気付いとったんか。うまく話を合わせとったつもりやったのに。

「最近ずっとそんな調子じゃない。なにかあった? ……話したくないなら、別に無理には聞かないけど?」



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