leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
「唯には隠し事出来ひんな……」

 溜め息をひとつ吐き、ぽつぽつと今感じている行き場のないもどかしさを唯に打ち明ける。

 こんな自分自身の問題で、そもそも人に相談するような事やないのはわかってる。

 けど、唯は呆れるでもなく真剣に耳を傾けてくれてる。

「……ふうん」

 視線をオレから正面に向け、ゆっくりと唯が口を開いた。

「いいんじゃないの?」

「いい……って何がや?」

「何にも悩みがなくってなんとなく生きてる人より、悩みがある人の方が味が出るってものよ」

「……? 悪い。言ってる意味がよう分からん」

「だから。そのままでいいんじゃないって事」

「そのまま……って?」

 未だ納得してないオレに構わず、唯が話し続ける。

「あたしだって特技も目標もなーんにもないもの。そのうち見つかるからゆっくり見つけようって未だに考えてるくらいだし?

それに将来なりたい自分の姿が、はっきり見えてる人ってそんな多くないんじゃないかしら?」



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