leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
 励ましてんのかようわからんけど、安易に『出来る』って言わへんのが、逆に唯らしく思える。

「なんかあんま、解決なった様ななってへん様なって感じやけど。話せて少し気ぃ楽になったわ。……ありがとうな」

「あら? 今日はやけに素直ね?」

「オレはいつでも自分の気持ちには真っ直ぐやぞ?」

 冗談混じりに言うと、よく言うわ、と呆れながら笑う唯につられて笑った。

「……悪かったな。変な話に付き合わせて」

「全然いいわよ。それに……ちょっと嬉しかったし」

「嬉しい?」

「そうやって悩みを、あたしに話してくれた事が嬉しかったの」

「え? よう聞こえへん」

 俯きながら話す唯の言葉が、あんまり聞き取られんくて、少し唯に近付いた。

 唯の声を聞き取ろうと少しだけ身を屈めた時――。

 オレの視界に映る唯の顔が急にピンボケになったと同時に、唇に暖かくて柔らかなものが触れた。

 …………え? な、なんや? これ……まさか。

 一瞬の出来事。けど、オレにはそれがめっちゃ長く感じられた。


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