leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
 ……帰ろう。

 そう思い、踵を返した時やった――。







「あッ! いた~ッ!!」

 一際、甲高い声が響いた方へ自然目を向ける。

 高校生くらいやろか、2人の女がはしゃぎながらバタバタと走ってるんが見えた。

 待ち合わせの相手でも見つけたんか……再び、その声と逆方向へと歩き出した時――

「ねー、お兄さん。もしかしてKAZUSA?」

 聞こえてきた名前にぴたり、と足が止まる。

 和紗?あっこが地図の場所か?
 はしゃぐ女共の声を縫う様に「せめて“さんですか”まで言われへんか?」と言う男の声が聞こえる。

 ――和紗や。オレはなんでか近くにあった自販機の陰に隠れた。

「…………なんでオレ隠れてんねん」






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