leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
 ほどなくして、MDで聴いた覚えのある曲が聞こえ始める。

 歌詞のないインスト曲――ミディアムバラードってゆーんか、少し寂しげな曲。

 和紗の曲……歌詞がついたら人気出そうやのにな。聴いてて安心する優しいメロディーやし顔も悪くない、すぐに熱狂的なファンが増えるやろう。

「チャンス……か」

 和紗を売り出してみたい……という考えが湧き上がってきた。歌詞がないのがネックなんやったら、誰かに書かせて和紗に歌わせればイケるかも――!

「問題は和紗にその気があるか、やな」

 頭の中で和紗をどう売り出すか、と考えを巡らせていると不意にギターの音が止まった。

 和紗、どうかしたんか?

 急に止まった音に心配になり、振り向いたオレの視線の数十m先に――淡いピンクのコートを着た若い女が立っている。







 ……ゆきなちゃんが
 そこにいた――。





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