leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~


「ここで働かせてください!」

 再び、オレはCDショップにやって来た。手に履歴書を持って。

 店内には既に彼女の姿はなく、オレはカウンターにいる、口髭を蓄えた責任者っぽい男の人に唐突に履歴書を差し出していた。

 オレの(無謀な)計画は、ここで働いてる彼女の友達のバイト仲間になって、そっから彼女を紹介してもらおう、というもの。

 が、やっぱり現実は甘くない。

 ちょうど一週間前に新人バイトが入ったばかりで人手は足りているから、と断られてしまった。

 でも、『はいそうですか』と引き下がれるはずもない。

 名前すら知らへん彼女との唯一の接点はこの店しかあらへんのや。

 オレは失礼を承知で『じゃあ、この先もし誰か辞めた時にオレ……僕を優先的に面接してくれませんか』と告げると、髭の人は苦笑しながらも快諾してくれた。

 その日を境にオレはこの店――“ポーラスター”に足しげく通い始めた。なにより彼女にもう一度逢える事を期待しながら――……。


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