leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
「あたし高二の時、憧れてた先輩がいたんだ。声を掛ける事も出来なくて、いつも遠くから見つめてるのが精一杯で……。

 だけど一学期の終り頃、急に先輩から声掛けられたの。“夏休みにどっか行かない?”って。その頃のあたしにとってはまるで夢を見てるんじゃないかって位、すごく嬉しかったんだ」

 オレは目の前に置かれた味噌汁を啜りながら、淡々と話す唯を見る。

 唯から、恋愛の話はもちろん唯の過去を聞くんは初めてで、どう反応を返せばいいんかわからんかった。

 それでも構わずに唯は続ける。

「いきなり2人だと緊張するからお互い一人友達連れて来て遊ぼうって言われてね。

 あたしはその言葉を信じて、ゆきなと一緒に待ち合わせ場所に行ったわ。だけど、そこにいたのは先輩だけだったの」





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