leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
 なんでこんな話をオレにしてるんやろう?唯の考えてる事が全然わからへん。

「その時は“友達に急にドタキャンされた”っていう先輩の言葉を信用してた。

 だけどね……先輩、嘘吐いてた。はじめから――……ゆきなに近付く為にあたしに近付いてたの」

 そう話す唯の声が少し震えたような気がした。が、表情はさっきまでと変わらずどこか落ち着いている様にさえ見えた。

 そして……オレ自身も同じく、ゆきなちゃんに近付く為に唯に近付いてた事を思い出した。

「唯……オレ……ッ!!」

 話し出そうとするオレに唯は、ふっ、と表情を柔らかくした。

「あたし、男を見る目全然なかったのよねぇ。でねその先輩、何が最低かってね、あたしなんてまるで見えてないみたいに、ゆきなにしか話し掛けないのよ?

 あれだけあからさまな態度取られたら、さすがに鈍感な奴だって気付くわよね」




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