leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
 何も知らんかった……知らんかったとはいえ、オレは唯に対してめっちゃ無神経な事をしてたんや。

「あたし、すごく悔しかった。なんでこんな惨めな思いしなきゃいけないの――? って。

 先輩と会う為に一生懸命悩んで選んだ服とか、短い髪でも少しでも可愛く見える様にって頑張ったのに、ぜーんぶ無駄な努力だったんだって理解した時――気付いたらあたしったらね、







 先輩をグーパンで殴ってた! 有り得ないでしょ? グーパンよ、グーパン!」

 と、唯はファイティングポーズを取ると、ボクサーさながらに右の拳を勢い良く前に突き出した。

「マ、マジで!?」

 その姿勢のまま、にっこりと「うん!」と応える唯。

「か弱い女のか弱い力で殴ったのにね。先輩ったらその場に尻餅ついて、おまけに鼻血まで出しててね。

 ゆきなの前でそんな醜態晒したもんだから、顔真っ赤にして逃げてっちゃって。それ見たら、なんであたしこんなつまんない男に憧れてたんだろう、って一気に冷めちゃったのよね」




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