leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
ポーラスターで働き始めて10日目、なんとか仕事の流れを覚え始めた頃……彼女が店にやってきた。
去年の夏に一目惚れして以来、久しぶりに見る彼女。
あれからずっと逢えんくて、もしかしたら記憶の中で美化しとっただけなんかも知れん、と弱気になった自分を払拭するようにあの日と変わらず清楚な印象の彼女。
そして彼女の隣りにはあの日と同じく、やはり唯がいて、接客しながら談笑している。
――あぁ、くそ。羨ましすぎる。
オレかって彼女と話したい。名前は何て言うんやろう?どんな声をしてるんやろう?……その笑顔をオレに向けてくれへんやろか。
――……バイトあがり、いつものように煙草を燻(くゆ)らしていると不意に唯から話しかけられた。
「ねぇ、小野くん。さっきあたしの友達じーっと見てたでしょ?」