leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
 な……なにんめ?オレの前に同じ事考えてたんが6人もおったんか……。ちゅうか、彼女の名前“ゆきな”って言うんや。

「だいたい、人の力を借りて知り合おうなんて、男らしくないのよねぇ。男なら堂々と当たって砕け散ってきなさいよ!」

 彼女の名前がわかった事に感動してるオレの前で、唯が一気に捲し立てている。

それが出来たらこんなに苦労せーへん……つか、砕け散んの前提なんかい。

「けど、この店でしかあの娘見掛けへんかったし……ただのナンパや思われるんも嫌やったし」

「え、もしかして……ゆきな見たのって今日が初めてじゃないの?」

 嘘を吐いたってしゃーない。退(ひ)かれるんを覚悟で去年の夏頃に一目惚れした事を話した。

「へぇ……だから“この店でバイトしたい”だったんだ」

 ようやく納得した、と指を鳴らす唯。

 どうやら、オレが買い物もせん癖にしょっちゅうこの店に来てた事が、唯にはずっと疑問やったようや。



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