leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~
「雪和ッ! 大丈夫かッ!! 何にもされてへんかッ!?」

 到着するなりゆきなちゃんとオレの間に無理やり割って入る和紗。そのせいでオレは弾き飛ばされ、危うく後ろに倒れそうになった。

「大丈夫やよ、和紗。健一くん紳士やもん……ちょ……っ!? 和紗ッ!?」

 漸(ようや)く体勢を立て直したオレの横では、「良かったぁ……」と、ゆきなちゃんに覆い被さる様に彼女を抱き締める和紗。

 完全オレの存在忘れとんな……つか、逆にわざと見せつけてるんか?

「おいコラ、そこ……イチャつくなや」

「あれ……なんや健ちゃん。まだいてたん?」

「………………」

 彼女を抱き締めたまま、オレを一瞥する和紗。まるで「俺の所有物」と言わんばかりの態度……って、あれ? 不思議やな、二人のこんな場面目の当たりにしてんのに……。

 あん時ほど辛くない――。

 まだ多少はチクリと胸が痛むけど、あん時みたいな苦しさはなく、不思議な程心は穏やかやった。




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