君の愛憎
愛した彼女
一目惚れ、だった。
高校2年生の、春。
廊下で、すれ違ったとき。
数人の女の子と歩いていた彼女。
優しそうに笑うな、って、思った。
決して派手な訳でも、特別美少女な訳でもなかった。
笑う表情が、とても素敵だったんだ。
それから、彼女を見かける度、目で追うようになった。
目で追う度に、彼女のことを知っていった。
彼女の名前、歩くのが周りより少し遅いことや、雨の日はいつもより気分が悪そうなこと。
困ったことがあると自分の前髪を撫でる癖など、たくさん。
もっと彼女を知りたいと思った。
同時に、自分のことを知ってもらいたいと、強く願った。