しろとくろ。
あなた と わたし
Ⅰ
待ち合わせのスーパーの前。
仕事から帰ってきた隼人(ハヤト)は
嬉しそうに右手を差し出した。
「なに?」
「これあげる」
握った手から見慣れた包み紙があらわれる。
「事務の大田さんに飴もらったから
雪奈(ユキナ)にもあげるね」
そう言って笑う
にっこりとでも擬音がつきそうな笑顔が好き。
誰もこの顔を知らないんだ。
私だけのモノなんだ。
そう思うと凄く嬉しくて
私もつられて同じような笑顔になった。