【短】蒼の旋律─First Love.─
「奏ちゃん?」
「あ、ううん、何でもない…」
何故か焦って、話題を探そうとする。
ピアノの上には、丁寧に磨かれて、ほこり一つ見えないブルーのグラスボトルが一つ。
これ……
「…まだ持ってたんだ」
「あはは、だって奏ちゃんが初めてくれたプレゼントだもん、当然でしょ?」
弥琴はその長い指で、まるで宝物を扱うかのようにボトルに触れる。
…部屋に馴染みすぎてて、今まで気付かなかった。
あたしが小学生のとき、当時中学生だった弥琴にプレゼントしたこのグラスボトル。
深いブルーのガラスで出来ていて、三角フラスコみたいな形のボトルにコルクの蓋がしてある。
たしか、学校の体験授業か何かで作ったんだっけ。
完成して『上手に出来た』と思った瞬間、あたしはこれを弥琴にプレゼントすることを決めたんだ。